Responding to Climate Change / 環境に配慮した事業活動による気候変動対応

フードロスの削減やコストダウンを伴う環境負荷軽減施策を実施し、地球環境の保全と経済成長を両立します。

社会課題・世の中のニーズ

地球上では今、大気中に排出される温室効果ガスの増加が気候変動を招き、異常気象の発生頻度が高まっています。作物の生産もその影響を受け、食料の安定供給にも懸念が拡がっています。そうした中で、環境保全やフードロスに関する社会全体の意識が強まり、行動の変容も表れてきました。当社グループは「食」の担い手として、気候変動対応への社会的要請に応え、経済成長とともに実行します。

機会

  • 環境施策を通じた差別化・ブランドイメージ向上
  • 環境規制への適合により可能となる円滑な事業展開

リスク

  • 気象災害の頻発・激甚化がもたらすサプライチェーンへの悪影響
  • 環境規制対応の遅れによる事業活動への法的制約
  • 環境への意識不足が招くブランドイメージの毀損
  • 資源の枯渇による調達・エネルギーコストの増加

短・中期的な施策

  • エネルギー使用量の適正化・省エネルギー化
  • 工場・店舗におけるフードロス削減・リサイクル化
  • 環境負荷の軽減
  • 店舗向け段ボール納品物などゴミ排出量の削減
  • 新規出店・改装における環境配慮(エコマーク認定等)
  • TCFD開示に向けた条件設定および管理体制構築

地球環境との共創

PETリサイクル実験への取り組み

店舗では、たれや醤油をはじめとする調味料の使用済み容器やドリンク販売の空きボトルなど、PET樹脂が廃棄物として発生します。これを自主回収し、ごみ処理費用の抑制につなげるべく、自社配送センターを置く関西地区でリサイクル化の取り組みを実験的に行っています。
2022年7月の実験開始当初は、吉野家とはなまるの約20店舗を対象に2ルートでの回収を行い、配送センターで保管した後、リサイクル業者が処理する形で運用しました。2022年10月に運用サイクルを検証し、現在は4ルートに拡大しました。
自社配送センターがない地域では、回収作業と保管場所の確保において外部業者との連携が必要になるなど、PETリサイクルを拡大するための課題もありますが、将来的には全国店舗での実施を視野に入れています。

フードロスの削減と食品リサイクル

玉ねぎの端材を乾燥パウダーに

東京工場では吉野家で使用する玉ねぎの規格外箇所(芯の部分)を取り除く加工を行っています。1日約10tの玉ねぎを加工しており、規格外となった玉ねぎ端材は全重量の約5%分発生します。この玉ねぎ端材を乾燥処理し、食用パウダーとして利用するアップサイクルの取り組みを2023年2月より開始しました。
ASTRA FOOD PLAN株式会社が開発した過熱蒸煎機は、食材の風味の劣化と酸化を抑え、栄養価を残しながら瞬時に殺菌・乾燥し、粉末化します。現在、東京工場から玉ねぎ端材を200kg単位で同社に冷蔵発送し、同社で粉末化したものをパン製造業者に供給しています。

  • 玉ねぎの端材をパウダー化し再利用することでフードロスの削減に繋げている

卵の殻を使用したバイオマス食器

当社グループの店舗では、さまざまなメニューで鶏卵を調理に使用し、日々多くの卵の殻を廃棄しています。これに着目した従業員の発案により、卵の殻のバイオマス食器への利用を進めています。卵の殻の主成分である炭酸カルシウムを燃やすとCO2が排出されますが、素材として卵の殻を55%含有するこの食器は、CO2を閉じ込めたまま凝固させており、廃棄物削減と同時に地球温暖化の抑止にも貢献します。
今後、店舗からの回収方法などを検討し、バイオマス食器として店舗で使用するまでの流れを具体化していきます。