Top Message/ トップメッセージ

筋肉質な企業体質への転換を経て
セカンドステージの「利益拡大」へ

株式会社吉野家ホールディングス
代表取締役社長 河村 泰貴

コロナ禍による事業環境の急変に対応した1年

新型コロナウイルス感染症の拡大は、大震災やBSE問題の発生、会社更生法を申請した経営危機からの再建など、過去に多くの苦難を乗り越えてきた当社グループにおいても、そうした経験からの学びを活かすことができない未知の事態であり、正解がわからない状況が現在も続いています。
2020年度は、有事対応としての迅速な経営判断が求められ、特に第1四半期は、現場における感染防止施策の導入やキャッシュ流出の全面的な抑止をスピーディーに実施しました。コロナ禍による影響の長期化を前提に、グループ全体で危機感を共有し、事業の存続に向けてコストコントロールを推進するフェーズに移行しました。
「構造変化」と名付けた収益性担保への施策は、各事業会社の徹底したコストコントロールと不採算店舗の閉鎖によって奏功し、損益分岐点の引き下げを果たしました。
また各事業会社は、損益分岐点の引き下げを進める一方で、多くの来店客が見込めず営業時間や稼働席数にも制限を受ける中、できるだけトップラインを確保していくための取り組みに尽力しました。

再スタートするセカンドステージにおいて目指すもの

2020年度の連結業績は、大幅な損失を計上する結果となりましたが、ここに述べた取り組みの奏功により、営業損失および経常損失において損失額を想定以下にとどめることができました。この1年間で筋肉質な企業体質を身に付けた当社グループは、改善したコスト効率を維持していくことで従来以上の収益力を発揮し、その上で市場が回復に向かえば、利益の拡大を果たせる見込みです。
長期ビジョン「NB2025」は、ファーストステージから2年のインターバルを経て、セカンドステージの3年間を2021年度から再スタートします。足もとでは、依然コロナ禍による有事が続いており、先の見通しが困難な状況にありますが、社会変化を機会点として新たな顧客層とニーズを獲得し、今後の成長につなげていきます。

「ひと」による価値づくりを持続的成長の条件として

当社グループが持続的成長を実現するための条件の一つは、人材育成であると考えます。私たちの仕事は、「ひと」が手掛けることで価値が生まれ、喜びを分かち合うことができる「感情労働」であり、技術の進化が進む未来においても、その部分を他に置き換えることはできないでしょう。当社グループは、一人ひとりの従業員が持つ「ひと」としての可能性を拓き、「感情労働」による価値を高めながら、持続的成長をともに実現していきます。

当社グループにとってコロナ禍は、大幅な業績悪化を招いた災禍であるものの、結果としてこの1年は、各事業会社がかつてないスピードで筋肉質な企業体質への転換を遂げる契機となりました。この企業体質を維持しつつ、市場の回復を迎えることで利益の拡大を果たし、さらにその利益を資金として、次の2030年代に向けて飛躍することができると自信を持っています。そのために今後3年から5年は、確実な成果を目指してまいります。ステークホルダーの皆様には、これからの当社グループを長期視点で見守っていただきますようお願い申し上げます。

2021年4月 株式会社吉野家ホールディングス
代表取締役社長 河村 泰貴