Medium-term Management Plan/ 中期経営計画

3ヶ年グループ中期経営計画(2022年度~2024年度)

中期経営計画策定の背景

当社グループを取り巻く事業環境は、コロナ禍による社会経済活動への影響が続いていることに加え、テレワークの恒常化やデジタル技術の加速的な進歩、急激なインフレの進行に伴う原材料価格の高騰、地政学的リスクの顕在化、地球温暖化による気候変動など、多種多様な要因による変化が拡がり、これまで以上に先行きの不透明性・不確実性が高まっています。
その中で事業を維持し、継続的に発展させ、世の中に「食」の楽しさ・豊かさをお届けする生活インフラとしてのミッションを果たすためには、経営の方向性を明確に示す羅針盤を定め、堅固な事業基盤を確立していく取り組みが求められます。
こうした考えのもと当社グループは、2022年度から2024年度までの3年間を期間とする新中期経営計画を公表しました。

基本方針

最終年度計画数値

2024年度 主要経営指標
収益力の向上
売上高
1,800億円
営業利益
70億円
店舗数
3,120店舗
資本効率の向上
ROIC
5.0%以上
財務基盤の強化
DEレシオ
0.6倍

※上記はM&Aによる成長は含まない

株主還元方針

収益性の向上と持続的成長でコロナ前水準への回復を目指す

事業戦略

国内吉野家進化 C&C店舗への転換による客層拡大・ブランドイメージの変革へ

吉野家は、3年間でグループが目指すトップラインの引き上げと利益拡大を牽引すべく、増収・増益を伴いながらクッキング&コンフォート(C&C) 店舗によるフォーマット転換を推進し、再投資と新規事業の創出に向けた余力を生み出し続ける役割を果たしていきます。 C&C 店舗への改装効果によって、新たな客層を取り込むことで、トップラインを獲得していきます。
これまで吉野家は、さまざまな取り組みを通じて客層の幅を広げていましたが、依然として男性客のご利用が多く、女性客や家族客のご利用はまだ十分に拡大していません。C&C店舗によるモデルチェンジは、休日にゆっくりランチやディナーを楽しんでいただける快適な飲食空間としてのイメージを形成します。それがマーケットに浸透することで、客層と利用シーンの拡がりをもたらし、収益構造の変化につながっていきます。

具体的な取り組み
  • 3年間でC&C店舗を500店舗規模へ/低投資モデルの開発
  • QHA(クオリティ・ホスピタリティ・アトモスフィア)向上
  • 牛丼の品質追求/から揚げを第2の柱へ育成
  • リピート率向上に向けたC&C店舗転換、新メニュー開発、広告戦略×外販商品強化などで新しい利用シーンを提供
  • アプリ・タブレットなどのデジタル活用による利便性向上
  • 外部パートナーとの「共創」による課題解決・新規価値創出の取り組み

はなまる再生 「はなまるの2乗」をテーマに収益力改善へ

はなまるは、2022年度の基本方針に「原点回帰」「断捨離」「一生懸命」の三つを掲げ、「はなまるの2乗(お客様にはなまるをもらえるはなまる)」を目指す取り組みを開始しました。
「原点回帰」は、おいしい讃岐うどんを質の高いサービスとともにお客様に提供するという創業時の理念に立ち返り、商品力・現場力の向上を図るものです。「断捨離」は、近年進めてきた施策を見直し、投資コストの適正性や営業時間・席数など、今のはなまるを否定して本来あるべき姿を考え、進むべき方向を明確化していくものです。そして、すべての従業員がこの二つを意識し、「一生懸命」に取り組んでいきます。

具体的な取り組み
  • 基幹商品の見直し・進化、だしや天ぷらの改良、サービスレベルの向上による「原点回帰」
  • 販売施策の見直しやメニュー・投資コストの適正化、作業の見直しにより生産性の向上を実現
  • 教育投資を再開し、自ら考え、行動する人材を育成
  • ロードサイド向け出店モデルの検証と改良

ラーメン・その他事業再生 新ブランドの育成・ラーメン事業を第3の柱へ

ラーメン業態は、中期的な視点からも居酒屋・レストラン業態より客数の落ち込みが少なく、海外市場における事業拡大の可能性も大きいため、さらなる成長が期待できる分野と捉えています。そのため当社グループは、今後の事業ポートフォリオ戦略において、ラーメン業態を次なる柱と位置付け、新中期経営計画の3年間で成長の基盤づくりを進めていく方針です。

具体的な取り組み
  • 多様なニーズに対応する新ブランド育成
  • 国内・海外ラーメン事業の収益力の強化およびサプライチェーンの再構築

成長事業拡大

海外事業海外店舗数>国内店舗数へ向けて出店加速
具体的な取り組み
  • 中国:北京でFC出店加速/深圳・四川・武漢・江西へ集中投資
  • アメリカ:出店加速による規模的拡大
  • フィリピン:ジョリビー協業での出店を本格化
  • インドネシア:第2セントラルキッチンの本格稼働に伴うFC出店加速
外販事業外販事業の売上高拡大
具体的な取り組み
  • 「冷凍牛丼の具」生産拡大
  • ダイレクトセールスの拡充/配荷店舗拡大
M&A持続的成長へ向けたM&A探求
具体的な取り組み
  • 「日本発の日常食を提供する外食の事業展開とその周辺ビジネス」でM&A機会を探求

サステナビリティ課題への取り組み

当社グループは、経営理念『For the People』が示す「企業は社会のニーズを満たし、人々の幸せに貢献するための存在である」との認識を具現化すべく、事業活動において環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)の視点を重視しています。
近年、地球環境や社会を取り巻くさまざまな問題が顕在化し、グローバルに事業を展開する当社グループにとって、それらへの対応は重要な経営テーマとなっています。当社グループは、ESG経営の推進を通じて環境・社会の課題解決を図り、ステークホルダーの皆様とともに持続可能な社会を実現してまいります。
当社グループは、長期ビジョン『NEW BEGINNINGS 2025』のもと、飲食業を再定義する新たな市場創造と価値提供に取り組んでいます。飲食業の再定義とは、現在のビジネスモデルに代えて長期的に運用でき、力強く持続的な成長をもたらすビジネスモデルづくりであり、事業を存続していくために不可欠な転換です。
飲食業の再定義を基本方針に掲げる長期ビジョンは、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にもつながるテーマを多く含んでいます。当社グループは、全社を挙げてこれを遂行してまいります。
また、2022年4月から東京証券取引所プライム市場に移行した当社は、同市場が求めるガバナンス水準に適合すべく、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に沿った 情報開示についても検討していきます。外食企業としてどのような開示対応が可能かを精査した上で、体制整備を進めていく考えです。これに関連し、温暖化ガスの排出量低減に向けた省エネルギー化や、フードロス削減などの環境保全対応についても、コストニュートラルを意識した上で、継続的な取り組みを行っていきます。

人材育成・能力開発・ダイバーシティ

当社グループは、「サステナビリティ基本方針」の策定、特定した5項目のマテリアリティ(重要課題)の内容を明確化していく上で何を大切にすべきか、取締役会でも議論を重ねましたが、やはり当社グループは「For the People」を経営理念に掲げる企業であり、「ひと」に関するテーマを最も重視すべきであると捉えています。
おいしく豊かな食事を支えるサービスは、「ひと」にしかできない価値提供であり、また「ひと」が持つ多様性や個性を尊重し、その活躍と成長を促すことは、企業の社会的責任であると考えます。当社グループにとって「ひと」による価値づくりこそが競争優位性の源泉であり、社会に存続していくための条件なのです。
今後は、この「ひと」に関するテーマを中心に、サステナビリティ基本方針およびマテリアリティが示す方向性と考え方を全社で共有し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進していきます。

グループ経営の深化

コロナ禍対応において成果を上げた「構造変化」を増進し、既存事業の業態を進化させることで収益力を強化しつつ、はなまる事業の再生を図ります。さらに海外事業や外販事業の拡大に向けてM&A機会の探求を含め、取り組みを加速します。
これらをグループ機能やシナジーの強化、デジタルシフトによる経営の深化とともに進めることで、投下資本効率を高め、利益水準の向上を果たします。

  • 国内グループ全社でのクラウドアプリ環境の整備と活用
  • 次世代基盤システム(本部・店舗)の再設計
  • オンラインオーダー、デリバリー、ブランドアプリ
  • システム関連投資のグループ管理と集約
  • はなまる製造工場でのラーメン事業の製麺生産開始
  • バックオフィス機能の完全統合
  • ベストプラクティスの共有・横展開
  • 製造拠点の集約化検討
  • 店舗開発部門のグループ機能組織化
  • 本部部門の海外エリア関与強化(調達、資金、人材)
  • グループ全体の判断基準となるROIC経営
  • グループリスク管理委員会の再整備及び機能強化

詳しくは、下記PDFをご覧ください。
「新3ヶ年グループ中期経営計画」策定に関するお知らせ PDF