Promise to Employee/ 「従業員」への約束

はなまる女性活躍推進と
ライフ・ワーク・バランス

はなまるは、女性活躍推進を中心とする職場改革への取り組みを本格化し、ライフ・ワーク・バランス(生活と仕事の調和)の実現を目指しています。
ここでは、それらの先駆的な取り組みで知られるセブン-イレブン・ジャパンとの異業種座談会の様子をお伝えします。

株式会社セブン-イレブン・ジャパン
  • 遠藤 夕起恵ダイバーシティ推進部マネジャー
  • 吉田 希美枝ダイバーシティ推進部マネジャー
  • 藤本 圭子取締役常務執行役員 秘書室長兼ダイバーシティ推進部長
株式会社はなまる
  • 伊藤 総宏事業統括室マネージャー リクルート担当
  • 斎藤 三千子東日本営業部統括スーパーバイザー LWB推進部部長

全員が働きやすい職場づくりのために

斉藤: はなまるでは、2007年に女性活躍推進プロジェクトを立ち上げ、10年間で男性社員も巻き込んだ取り組みを行ってきました。2017年度からLWB(ライフ・ワーク・バランス)推進部を発足し、女性活躍だけでなく、多様な働き方により社員全員が「HAPPY」になることを目指す活動を開始したところです。今はまず、社員全体の8割を占める現場の方々にフォーカスをあて、産休に入った女性社員の職場復帰や男性社員の育休取得、労働時間の適正化、家族の介護といった課題ごとの「チーム」を編成し、サポートに取り組んでいます。
特に女性社員はまだまだ絶対数が少ない中、店長、スーパーバイザー、地域統括マネージャーへと幹部候補として上がってくる女性がわずかしかいないことについて、課題として捉えています。

はなまるの現状

2018年2月現在、はなまるの正社員415名のうち女性は99名(23.9%)、管理職23名のうち女性は2名(8.7%)に過ぎません。女性の活躍を推進し、全ての社員にとって働きやすい職場を実現するために、LWB推進部による「労働時間適正化・休暇取得」「出産・育児支援」「介護支援」の取り組みを進めています。

  • はなまるうどんアクションプラン定量目標
  • 10年後の従業員ピラミッド
はなまるの目指す姿
働く人が「HAPPY」であること。
「HAPPY」の定義はひとそれぞれ、そして自分で決めること。だからこそ、働く人が自ら「HAPPY」を感じる環境をつくり、「働きがいのある職場」を実現する。
「販売戦略→人事戦略」へ。
企業として存続することが社員のためになる。
全ては「」から始まる
チーム別 はなまるの目指す姿
チームケアラー
ケアラーの浸透→介護離職ゼロ
チーム87mama
産休、育休、復帰時のメンターの育成。
育児休業からの復帰者の継続就業。
チームお休み
月8日以上休み取得、残業45時間以内。
休むことの大切さを知る。
当社で働くが「HAPPY」である職場へ

藤本: 女性社員の就労比率はどれくらいですか?

斎藤: 本社と現場を合わせて約25%ですね。この10年間で女性社員は20名から111名に増えましたが、社員数全体の拡大の中で女性比率は横ばいのままです。セブン-イレブン・ジャパンさんは、かなり前から女性活躍推進の取り組みを行ってきたと伺っていますが。

藤本: 当社では、1993年に女性取締役が2名誕生し、管理職についても女性の能力を正当に評価し、活躍させる風土が以前よりありました。ただし、多くの幹部にそうした認識を共有できたのは、当時の鈴木CEOが女性の積極登用を社内外に発信した2006年以降です。これを機に、女性の活躍推進が大きく進展していきました。私たちは、女性社員自身の意識を変えるための研修・セミナーを行う一方、女性を取り巻く周囲、特に影響の大きい男性管理職向けにも研修・セミナーを実施し、意識改革を促しています。また、家庭において夫として女性を支えている男性社員に対しては、家事や育児への参加を働きかけるセミナーを実施し、女性活躍推進の浸透を図っています。

斎藤: ダイバーシティやライフ・ワーク・バランスへの意識改革をどのように進められているのか、教えていただけますか?

藤本: 男性管理職に対しては、内部からの働きかけよりも外部の講師から「世の中がこんなに変化しており、女性の活躍を推進しないと企業成長が遅れてしまう、そういう知識がないとマネジメントできない」と警笛を鳴らすことで、意識の変化が生まれてきます。

吉田: ライフ・ワーク・バランスの啓発としては、仕事と家庭もどちらも充実すべきものであると会社からきちんと発信した上で、そうした両立のノウハウを伝えていくことが意識改革において重要ですね。

女性の活躍を支える仕組みと取り組み

遠藤: 女性にとって、出産・子育てをしながらの管理職へのチャレンジは高いハードルです。そこで二の足を踏まずに「できる!」という気持ちを持ってもらうためには、出産などのライフイベントを経験する前に管理職という景色を女性社員に見せておくことも有効だと思います。

吉田: 当社では、業務の振り返りや今後のキャリアパスについて、上司と面談する機会が年に4回あります。その時に上司として女性社員の後押しをどうすればいいか、わからない場合もあるので、そうした管理職側に対するレクチャーも行っています。

斉藤: はなまるで大きな課題となっているのは、出産・子育てのサポートです。これまで出産後の職場復帰者が少なかったこともあり、女性社員にとってのロールモデルが足りない状況です。セブン-イレブン・ジャパンさんでは、育児や職場復帰についてどんなサポートを行っていますか?

吉田: 今、出産を理由に退職する女性社員は、ほぼゼロです。制度面では、産前・産後の休暇に加え、育児休業制度として子供が3歳になる直前の4月15日まで休めるようになっており、またその後も、子育て社員が祝日・年末勤務時に、小学生以下の子供を社内で預けられる「スポット保育」という制度もあります。

遠藤: 職場復帰に際しては、復職前にオリエンテーションを行い、スムーズな復帰を支援しています。そこで、仕事と家庭・育児を両立している先輩社員から、具体的なアドバイスを受けるといったことも行います。「なんとかなる」というイメージを持ってもらうことが大事です。

斎藤: はなまるの取り組みを述べますと、妊娠報告のあった女性社員に対し、「チーム87mama」のメンバーがマンツーマンで、出産前から育休後の復職までメンター的なサポートを行う体制を整えました。育休に入った社員に対しては、孤立せず横のつながりが感じられるように、親子で参加できるサークルを用意し、会議室での座談会などコミュニケーションや相談の場を設けています。
それから復職経験者の意見も取り入れた復帰トレーニングプログラムの作成など、職場の方の受け入れ体制づくりも進めているところですね。
過度にがんばらなくても、家庭と仕事を両立しながら成長できる職場を実現したいです。

男性社員をどのように巻き込んでいくか?

藤本: セブン-イレブン・ジャパンでは、男性の育児休業取得を進めたいと考えていますが、育児休業は取得期間中の所得が大きく減ることからハードルが高いため、当社独自の制度として、年間5日間の有給の育児休暇制度を2014年度から導入しました。昨年度は約500名が取得しています。

吉田: 忙しい管理職の休暇取得を社内誌で伝えるなど、取得をアピールすることで、だいぶ浸透してきました。

伊藤: はなまるでは、「チーム87mama」同様のメンター的なサポートを男性社員に対して行う「チーム87papa」の活動を始めたところです。女性社員の妊娠報告と異なり、奥さんの妊娠については情報がすぐに上がってこないので、そこを工夫していく必要がありますね。

斎藤: 昨年、店舗の方で1年間の育児休業を取得した男性店長がいました。周囲にも「あ、休業が取得できるんだ」という認識が広まった事例でしたが、伊藤が言いましたように、奥さんの妊娠を早めに報告してもらい、休業取得に向けて対応することが課題となりました。
今年1月から代表取締役社長に就任した門脇は、はなまるで実現したいことの一つに「家族を大切にできる職場環境を社員に与えること」を挙げています。社員の仕事を支えてくれる家族は、会社としても大切な存在です。その家族にとって大事な日である入学式・入園式、結婚記念日などに、社員が堂々と仕事を休めるように、事前に絶対休みたい日を記入して上司や同僚と共有する「お休みカレンダー」を導入しました。この点について御社ではどのように取り組んでいらっしゃいますか?

藤本: 当社の管理職の中には、部下との面談を通じて、その家族の誕生日や記念日などの情報をきちんと把握している人もいます。そうした姿勢を持つ管理職が増えていけば、家族を大切にできる職場環境の実現につながっていくのではないかと思います。

将来の介護を見据え、進めている活動

藤本: 社会の高齢化が進む中で、家族の介護と仕事の両立という問題が大きくなってきています。そうした社員の家庭事情に対するサポートは、当社ではまだ入り口段階ですが、介護の事前準備に向けた啓発セミナーを開催し、いざという時に適切な対応が取れるよう情報提供を行っています。もう一つ目指しているのは、在宅勤務制度の導入です。昨年マネジメント層を対象に在宅勤務のテストを実施し、好感触を得ました。

斎藤: はなまるでは「チームケアラー」を発足し、10年後の介護世帯の増加を見据え、スーパーバイザー以上を対象とするセミナーを開催しています。内容は、地域包括支援センターの利用といった、介護に関する基本知識の提供からですね。また来年度からは、研修人事部に介護支援の専門部署を設置し、より本格的な取り組みを開始する予定になっています。
出産・育児はフォーカスされやすいですが、介護は「隠れ介護」という言葉もあるように、社員が周囲に相談しないことが多く、同居でない親のケアも含めて実際には社員が働きづらさを感じていても、表面化しにくい状況があります。そうした中で、社員が追い詰められることのないように早目の支援対応が必要だという認識です。育児と仕事の両立と同様に、介護も全てを自分一人でなんとかしなければならないのではなく、周りのサポートを上手く利用し、みんなで協力し合うことで「なんとかなる」という意識に社員を導いていきたいです。

藤本: その通りですね。当社では、介護をしている社員へのアンケートや話し合いの場としてのコミュニティづくりを行っていますが、そこで感じることは、「自分の経験を役立ててほしい」と思っている人が多いということです。参加者からは悩みやアドバイス、具体的なノウハウなど、いろいろな話が溢れてきます。介護支援においては、そうした話を個別に聞いていくことが求められるでしょう。

今、考えていること、実現していきたいこと

伊藤: かつては私自身、朝から夜遅くまで長時間の仕事を続けてきたタイプでしたが、LWB推進部の一員となり、その取り組みを通じて仕事一辺倒だった生活から、家庭とのバランスをとった働き方へと変化させることができました。昨年12月からは別の部署に異動しましたが、引き続き男性社員のモデルとなるようなライフ・ワーク・バランスを維持していきたいですね。

斎藤: はなまるの社員だけでなく、その家族も「HAPPY」になれる会社として職場づくりを進めたいです。そして、例えば老後のことについても、はなまるに勤めていたから安心、と言えるような職場を実現できたらと。
自分自身の「はなまるが大好き」という気持ちを全ての社員に、また斎藤が言うようにその家族にも拡げていきたいです。それを実現するための課題はたくさんありますが、目指す姿はそこだと思っています。

藤本: 私は働きやすい職場づくりを通して、流通小売業界の底上げを図りたいという気持ちがあります。現状として、例えば、学生の就職希望ランキングの上位にはなかなか入ってこない業界です。業界が発展していくためには、求職者がこの業界で働きたいと思えるような改革が必要だと考えています。

遠藤: 働き方改革やライフ・ワーク・バランスの浸透を長期的な視点で進め、将来社員の子供が入社したくなる会社、子供に入社を勧めたくなるような会社の実現につなげたいと思っています。

吉田: ダイバーシティは、女性の働きやすさをサポートすることにとどまらず、より多くの活躍を引き出すことだと考えています。その活躍が自社の発展につながっていくということを社員に、そして世の中にもわかりやすい形で伝えていきたいですね。

チーム別の取り組み

はなまる「チームケアラー」の取り組み

【概要】
「介護による離職者ゼロ」を目標に掲げ、家族を介護しながら働く社員をサポートする取り組みとして、気軽に介護について相談できる「ケア交流会」を開催している他、「営業部向け介護基礎セミナー」などを実施し、介護に関する啓蒙に努めています。

VOICE

採用人事部 角田 映子
私は、親の介護をきっかけにケアラー支援活動を志願しました。突然の介護生活で、何をどうしたらよいかわからなかったという自分の経験を活かし、ケアラー予備軍に情報を発信したいと思ったことがきっかけです。活動メンバーを募り、さまざまな周知活動を地道に続けてきましたが、活動目標の一つとしていた「管理者向けセミナー」を初めて開催した時は、メンバーと歓喜しました。2018年度からは、はなまるの採用人事部で専任の担当者として取り組むこととなりました。組織的に体制を整えて、ケアラーサポートをより一層強化していきます。

はなまる「チーム87mama」の取り組み

【概要】
「出産・育児による退職者ゼロ(産休・育休後の復職率100%)」を目標に掲げ、出産前から産休・育休中、復職後まで女性社員をサポートする体制を整備している他、親子で参加できるサークルなど、コミュニケーション機会や相談の場を設けています。

VOICE

採用人事部 北村 美紀
2017年度は「87mama退職者0人!」を目指し、活動を行いました。3ヵ月に1回のペースで「87mamaサークル」を開催し、対象者のご主人も交えた交流会を実施しました。活動で苦労したのは、87mama担当である私たち自身が、子育てが一段落しており、小さい子供を育てる大変さ、苦労を忘れかけていることです。2018年度はメンターが担当する女性社員のスケジュールを把握し、定期的にコミュニケーションを図ることで、出産・育休・育児で不安を抱える社員を節目節目でサポートし、「産後の退職者0人」を目標に活動していきます。

はなまる「チームお休み」の取り組み

【概要】
「月間8日の休日取得」「月間残業時間45時間以下」を目標に掲げ、活動として「お休みカレンダー」の導入による休日取得促進、スーパーバイザーエリアの枠を超えたヘルプ体制の構築、全店舗への休日取得・残業状況配信による啓蒙を行っています。

VOICE

東日本営業部 統括スーパーバイザー 日吉 文明
2017年度は、6月から「社員公週休8日/月」「残業45時間以内/月」の完全実施に向けた活動を行ってきました。営業各エリアへのヒアリングを通じて課題や問題点を抽出し、効果があった施策を紹介したり、定期的な進捗報告により全体の見える化を図った結果、2018年1月実績で「社員公週休8.9日」「残業16時間/月」と一定の成果を出すことができました。2018年度は、家族との時間を大切にする、自己研鑽を行うなど、それぞれが目的をもって「休みたい日に休む」ことで、休日の質を高めながら、さらなる労働環境の向上に取り組んでいきます。