Promise to Employee/ 「従業員」への約束

障がい者が活躍する職場づくりが
工場にもたらしたもの

各店舗が提供する食材の一括加工を担う東京工場では
26年前にスタートした障がい者雇用を積極的に推進し、
生産現場における社会価値づくりとして定着させています。

幅広い部署で障がい者が活躍し、
今や工場にとって不可欠な存在に

株式会社吉野家ホールディングス
グループ商品本部 製造部 統括管理 マネージャー
松葉 利一
松葉 利一 写真

東京工場では現在、従業員約500名のうち83名の障がい者を雇用しています。多くは知的障がいを持つ方ですが、精神障がい者と身体障がい者も若干名います。

最初に障がい者を雇用したのは1993年で、宮代町役場からの紹介を受けて25歳の女性1名を採用しました。当時の工場には、もちろん障がい者を受け入れる十分な体制や知識もなく、チームの一員として健常者と変わらない接し方をしていましたが、彼女は重たい野菜を扱うハードな単純作業を黙々とこなし、その成長を周囲が温かく見守る職場の雰囲気が生まれました。

その後、当社全体の法定雇用率を満たす形で障がい者の雇用を拡大し、特別支援学校からの新卒採用とハローワーク経由の中途採用を進めてきました。新卒は在学中から実習に通い、中途は1ヵ月間の委託訓練を受け、業務内容を理解してもらっています。

障がいを持つ従業員は、全員が常勤雇用契約で、品質管理を除く全ての部署で活躍しており、主に野菜の芯取りや外葉の除去、館内清掃、食材残さのリサイクル作業などを担当する他、設備管理部門では、簡単な機械の修繕や工場内のペンキ塗装も任されています。

私自身十分な知識がない中で始まった取り組みでしたが、障がい者に活躍してもらうためには、画一的な対応ではなく、一人ひとりの適性を見出し、それを活かすサポートが必要であると経験を通じて実感しました。そこでジョブコーチ(職場適応援助者)の資格を有する永井を雇用担当者として採用し、永井を中心にサポート環境の整備に努めました。現在は、私も同資格を取得し、正社員ほぼ全員にあたる20名が職業生活相談員の資格を取得することで、受け入れ体制を整備しています。現場では相談員が障がい者の上司となり、健常者との仲立ちを行うことで、業務をケアしつつ、コミュニケーションの円滑化や問題解決を図っています。

障がい者の雇用は、的確なサポートやマッチングへの配慮を要しますが、その仕事への真面目さやひたむきさ、そして多様な人材の活躍によって生まれる活気は、今や工場にとって不可欠なものになっています。

「置かれる環境・声掛け・気づき」で、
障がい者が安心して働ける環境へ

株式会社吉野家ホールディングス
グループ商品本部 製造部 統括管理
企業在籍型職場適応援助者 障がい者雇用担当
永井 直美
永井 直美 写真

私は、東京工場で障がい者雇用を担当するようになって2年目となりますが、その前は福祉関連の仕事に就き、障がい者の方々を企業に送り出す側にいました。多くの障がい者に接する中で、彼らの適性や能力が様々に異なっており、時間をかけてそれを見出すことの難しさを感じてきました。今は企業の側から、障がい者一人ひとりの個性を理解し活かすことで、障がいの程度による受け入れの「線引き」をなくしていきたいと考えています。

障がい者の方々は、業務とのマッチングによっては、健常者にも勝る正確性や集中力を発揮します。活躍の場を得られる喜びは、本人のモチベーションを高めるとともに、周囲の人々との信頼関係やチームワークを向上させ、職場全体の活性化をもたらしていくでしょう。

このような形で職場と障がい者の良好な関係を築き、就労の定着につなげていくために、東京工場では「置かれる環境・声掛け・気づき」をテーマとする障がい者支援に取り組んでいます。障がい者だけの作業所と異なり工場の現場では、障がい者が抱えている仕事上のトラブルやストレスが見えにくく、コミュニケーションが苦手で周囲に相談することができない人もいます。

そこで私たちは、職場の障がい者に周囲から声を掛け、問題点に気づいてあげるとともに、解決に向けた情報共有を図り、障がい者の方々が安心して働ける環境づくりを目指します。同時に、障がい者支援センターや特別支援学校、家族とも連携をとり、「地域・家庭・職場」のネットワークによるサポートを行っていきます。

また今後は、工場で働く障がい者も高齢化し、業務内容を変えて負担を軽減する必要が生じてきます。一人ひとりの課題を見つけながら仕事経験の幅を少しずつ拡げ、変化に対応させていくことを考えています。

障がい者法定雇用率

2018年4月より法定雇用率を段階的に引き上げ
  • 従来 2.0%
  • 2018年4月から2.2%に引き上げ
  • 2020年度末までに2.3%へさらに引き上げ

当社グループ 障がい者雇用率の推移

障がい者雇用率の推移グラフ
年間100店規模での出店が続いており、正社員・アルバイトの雇用数が増加するなか、継続して障がい者雇用に取り組んでいます。今後も引き続き多様な人材が活躍できる職場づくりを進めてまいります。