トップメッセージ
モニタリング可能なマテリアリティKPIの設定により
サステナビリティへの取り組みを全社的に促進
私たちは2024年1月、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化すべく「サステナビリティ推進委員会」を設置し、前々年に特定した「5つのマテリアリティ(重要課題)」について、取り組みの目標を示すKPIを設定しました。各KPIは、2030年度までに達成を目指す数値を定めており、2030年をゴールとするSDGsへの貢献を意識しています。「5つのマテリアリティ」は、いずれも当社グループの社会的存在意義にかかわる大切なテーマですが、その中でも特に「ひと」に関するテーマは、「For the People」を経営理念に掲げる会社として最も重要度が高く、どこよりも真剣に取り組んでいかなくてはならないと認識しています。KPIでは、女性社員比率や女性管理職比率、有給休暇取得率とともに従業員エンゲージメントの向上を設定しました。私自身は、ライフワークバランスに関する制度整備や組織風土の改革もさることながら、従業員にとって会社が成長している実感を持てることが一番大事なのではないかと思っています。
また子ども食堂などを通じた「店舗の地域貢献活動」の拡大は、「食」の提供に携わる会社としての社会的責務であり、私が重視している以上に、活動に参加した社員たちが皆「もっとやるべきだ」「やりたい」と言ってくれます。SDGsのテーマでも「貧困をなくそう」という項目は筆頭に挙げられており、個人的にも強い問題意識を持っています。マテリアリティのKPIでは、2030年度目標として全都道府県に活動のネットワークを構築していきますが、それと同時に、グループ全社での提供食数や活動に参加する社員の延べ人数を拡大したいと考えています。
環境配慮・気候変動対応については、国内工場から排出する廃棄物の再生利用、特定プラスチックの削減、エコレストランの継続認定をKPIとし、目標を定めました。しかし環境問題については、事業活動やサプライチェーンの中で様々な要素が絡み合い、負荷の軽減においても非常に複雑な面があります。また取り組みにも流行り廃りがあり、10年前に求められた環境対応が現在は有効とされなかったり、その逆のケースも起きています。そこで必要となるのが、その環境活動がコストダウンやクオリティアップにつながるかどうかという視点です。すなわち経済価値を取り組みの物差しとすることで、継続的な環境活動が可能になるというのが、私たちの基本スタンスです。
このように今後は、モニタリング可能なKPIの設定により、全社でサステナビリティへの取り組みを促進し、企業価値および社会価値の向上につなげていきます。そして事業活動においては、当社グループの長年の課題となっていた収益性の改善・安定化に目処が立つところまできており、今後はグループを挙げて成長企業に挑戦していく所存です。
株式会社吉野家ホールディングス
代表取締役 河村泰貴