トップメッセージ

サステナビリティ推進による競争力強化

当社グループは、持続可能な社会の実現に向け、サステナビリティへの取り組みは社会的価値の創出にとどまらず、経済的価値へとつながることを重視しております。「5つのマテリアリティ(重要課題)」は、ESGの観点から事業活動と社会課題の関連性を明確にし「企業の持続的成長」および「持続可能な社会」の実現に資するものを特定しました。また、サステナビリティの取り組みを全社的に検討・推進するため、「サステナビリティ推進委員会」を設置し、サステナビリティに関わる全社方針や目標の策定、KPIの定期的な見直し、サステナビリティ推進体制の構築や整備など、継続的に実施しております。

「5つのマテリアリティ」は、いずれも当社グループの社会的存在意義にかかわる大切なテーマですが、当社グループは、「ダイバーシティ& インクルージョンを実現し『ひと』の成長と活躍を推進」を5つのマテリティの最初に掲げています。日常食を提供する当社グループにとって、従業員が仕事を通じて感じる喜びややりがいは、お客様のおいしく豊かな食事を支えるサービスの源泉であり、「ひと」にしか成し得ない価値があります。「ひと」の多様性や個性を尊重し従業員の活躍と成長を促すことは、拡がり変わりゆく顧客ニーズを捉えた価値を生み出し続けることにつながり、企業としての持続的成長と社会への価値還元をもたらしていきます。KPIとして、女性社員比率や女性管理職比率、有給休暇取得率とともに従業員エンゲージメントの向上を設定しております。
また、子ども食堂などを通じた「店舗の地域貢献活動」の拡大は「食」の提供に携わる会社としての社会的責務であり、SDGsのテーマでも「貧困をなくそう」という項目は筆頭に挙げられております。マテリアリティのKPIでは、2030年度目標として、グループ全社での提供食数を設定しております。
環境配慮・気候変動対応については、国内工場から排出する廃棄物の再生利用、特定プラスチックの削減、エコレストランの継続認定をKPIとして設定しております。環境問題については、事業活動やサプライチェーンの中で様々な要素が絡み合い、負荷の軽減においても非常に複雑な面があります。そのため、持続的に活動するためには、コストダウンやクオリティアップにつながるかどうかという視点が重要と考えています。すなわち経済価値を取り組みの物差しとすることで、継続的な環境活動が可能になるというのが、私たちの基本スタンスです。
このような活動において、それぞれの活動が連動しながら、1つ1つのKPIを評価していくことで、サステナビリティへの取り組みを促進し、企業価値および社会価値の向上につなげていきます。そして事業活動においては、「成長を伴う事業収益向上」と「資本効率の向上」を特に重要な課題として位置付け、財務規律の堅持と投資効率改善を前提に、既存ブランドの進化に向け成長投資を推進、加えて、事業ポートフォリオの拡充に向けて積極的なインオーガニック投資により、企業価値の向上を図り、グループを挙げて成長に挑戦していく所存です。

株式会社吉野家ホールディングス
代表取締役 成瀨 哲也  小澤 典裕