Promise to Suppliers/ 「お取引先」への約束

安全・安心な食材の安定調達

執行役員グループ商品本部長 栗岡 琢也

尊重と信頼による取引先とのパートナーシップ

グループ商品本部は、主に吉野家とはなまる向けに、商品をお客様にお届けするための機能を集約・一元化し、共有する役割を果たしています。本部内の組織は、牛肉や米、野菜など食材の仕入れを一括する「商品部」の他、機能性表示食品や健康メニューなど、機能性素材を用いた商品づくりの研究開発を行う「素材開発部」、各業態から商品づくりのオーダーを受け、形にする「商品開発部」、牛肉や玉ねぎのスライス、漬物、たれの製造を行う「製造部」、全体の事務機能と物流業務を担う「商品統括部」で構成されています。

この中で、特に商品部が担う仕入れ機能は、コストダウンや業務効率向上の観点だけでなく、安全・安心な食材を安定的に調達するためにも、集約・一元化による取り組みが不可欠であると言えます。かつては、仕入れの規模拡大によるマスメリットが期待を集めましたが、昨今は一定の規模を超えることで、数量確保や品質維持の困難がリスクになってくるという認識です。

多数の店舗を全国展開する当社グループにとって、商品の一斉発売は非常に気を遣います。食材の調達が十分でなければ、商品が人気を集めながらもショートを起こす反面、過剰に準備すればフードロスの発生につながります。販売予測および仕入れ計画について、事業会社側と事前に入念な打ち合わせを行いますが、見込み通りにならないことも多くあります。

食材の安定調達に向けたリスクヘッジとして、商品部では複数の取引先からの購買を基本としつつ、常に各取引先との緊密な関係の構築に努めています。ほとんどの食材調達において、生産農家との間に商社や卸など中間業者との取引がありますが、商品部は中間業者との連携を図りながら、産地にもバイヤーが直接出向き、生産者の方々とコミュニケートしています。

こうした関係の構築は、食材の安全・安心を担保する上でも重要な取り組みです。商品部では、生産工程における衛生管理・品質管理体制に対し、現地視察による確認および指導を定期的に実施しています。

取引先との関係構築のベースとなるのは、お互いに対する尊重と信頼で結ばれたパートナーシップです。一方的な価格の引き下げや条件の厳しい納品を求めず、双方が利益を得られる適正価格を維持しなければ、ビジネスとして長続きしません。また、お互いの事業内容をよく知ることで、得意・不得意を補完し合う協力関係が生まれ、それが強い調達力につながっていきます。

商品部の今後の課題は、従来の仕組みや組織体制への依存から脱却し、イノベーションを生み出していく土壌づくりです。食材についての専門性や独自性をより高めるべく、人材育成に注力し、当社グループが目指す新たなビジネスモデルの構築を仕入れ部門として支えていきたいと考えています。