私たちは、「地球環境や資源の保護に努め、サステナブルな事業活動を実践するとともに、地域社会への貢献や社会福祉活動に参画することにより、企業市民としての社会的な責任を果たします。」に基づいて行動することをお約束いたします。
社会的な良識を備えた企業活動を行うことを基本的な考え方としており、会社と仕事に誇りを持ち、法令・規則・マニュアルを遵守し、コンプライアンスに背く行為は行わず、ビジネスを通じた社会貢献を考えた行動を行ってまいります。
吉野家が2018年から開始した小学校への出前授業「いっぱいの牛丼ができるまで」は、開催を10校に増やして2019年も行われ、好評を博しました。
この出前授業は、5年生の社会科学習として提供するもので、吉野家の牛丼を題材に、第一次産業(生産農家からの調達)から第二次産業(工場での加工)を経て、第三次産業(店舗での販売)に至るまでを網羅的に学ぶ内容です。また、次世代を担う児童たちに直接「吉野家の牛丼のおいしさ」を伝える教育的ブランディングとしての狙いもあります。
各開催校では、吉野家の広報担当社員が講師を務め、クイズや新聞作りを通して、企業の取り組みや工夫、多くの人々の関わりについて楽しく学び、最後には実食もできる授業内容に、児童たちは大満足の様子でした。
2020年も引き続き開催を予定しており、エリアマネージャーも講師として参加するなど、より地域に密着した授業にしたいと考えています。
このような取り組みは、社会人として、当社グループのリーダー候補として、会社の代表となり社外へ向けて(特に若年層)飲食業の価値、働く意義を語り伝えるという機会にもなっています。
グループ行動憲章の「社会への約束」に基づいて、循環型社会に適応した環境保全活動を通して、
社会に貢献することを目指し事業活動に取り組んでおります。
オフィスや工場、店舗におけるさまざまな活動を通じて、地球環境や資源の保全に配慮してまいります。
環境保全の観点からプラスチックの過剰な使用と廃棄を抑制すべく、国内では経済産業省の主導によってレジ袋の有料化が進められています。しかし吉野家の店舗では、テイクアウト用のレジ袋を引き続き無料提供しています。これは、お客様に安心・安全にテイクアウト商品をお持ち帰りいただくためで、マイバックよりも安定した状態で持ち運べること、衛生面を担保できることが理由です。
吉野家は、こうしたお客様の安心・安全と環境保全の両立に向けて、テイクアウト用レジ袋をバイオマスプラスチックを25%配合したものに変更し、2020年7月から全国店舗への導入を開始しました。再生可能なバイオマス資源を原料とするバイオマスプラスチックは、焼却処分した場合も大気中のCO2濃度を上昇させない特長があります。吉野家では、これを25%配合したレジ袋の使用により、年間約30トンの石油由来プラスチックの削減を見込んでいます。
近年、環境保全の観点から企業によるプラスチック使用の抑制が求められています。そうした流れに対応すべく、グループ商品本部では、店舗で使用するテイクアウト用包材やごみ用プラスチック袋などの肉薄化を図り、廃棄プラスチックの削減に努めています。また、グループ各社で使用する包材等についても共通化し、規格を統一した薄肉強化品を採用するなど、環境保全と資源の節約を意識した全社的な取り組みを進めています。
これらの対応について従来は、吉野家が先行して取り組み、研究および導入を進めてきましたが、2018年度からは、はなまるにも拡大し、ごみ用プラスチック袋の必要強度を算出した上で肉薄化を図りました。
その結果、新たに採用した薄肉強化品のプラスチック袋は、従来品と比較して石油化学製品の使用量を27.93%減容し、焼却時のCO2排出量も年間で約24.7トン低減することができました。
包材・プラスチック袋類については、グループ商品本部でさらなる環境保全効果の創出に向けた研究を続けており、積極的な対応を行っていく方針です。
お客様に提供する食材の一括加工を行い各店舗に供給する東京工場では、環境保全対応の一環として生産工程で発生する野菜の端材を分解し、水として排出する「野菜端材処理機」を導入しています。
工場では、月間100~120トンの野菜端材が発生します。これを粉砕した後、工場敷地内に設置した野菜端材処理機に水と一緒に投入し、分解処理することで、ほぼ半減となる同50~60トンの減容につながっています。同処理機は、微生物が付着した菌床で投入された野菜端材を液状に分解。この排水は、工場内の浄化槽から排水処理施設に送られ、処理を経て工場脇の用水路に放流されます。工場近隣の水田では、田植えの時期にこの用水路から水を汲み上げて活用しています。
この自社による野菜端材処理を、外部の処理場に運搬して委託処理する場合と比較すると、車両運搬によるCO2の発生を抑止し、用水としてリサイクルするという環境貢献をもたらしつつ、処分費用の削減という経済効果も生んでいると捉えられます。
現状では、野菜端材処理機の活用は全体の約5割であり、残りの野菜端材は東武動物公園や農場に持ち込み、動物・家畜の餌としてリサイクルしています。東京工場では、より効果的なリサイクルを目指し、引き続き取り組みを継続していきます。
(株)吉野家の店舗では、LED照明の全店導入をはじめとして、使用する機器を新規購入・更新する際には、省エネルギー型機器を導入しています。また食器や箸などは、使い捨てではなくリユース可能なものを使用し、牛丼の調理工程で生成される牛脂は、堆肥としてリサイクルするなど、省エネルギー化・省資源化への多面的な取り組みを行っています。
こうした取り組みが評価され、(株)吉野家は2017年10月、エコマーク「飲食店」認定基準において、外食企業で初めての認定を受けました。当社グループは、引き続き工場および店舗における環境負荷の低減に努めてまいります。
吉野家では、店舗に常備するグランドメニューの素材を見直し、環境保全や耐久性向上の観点から、従来の紙に代えて株式会社TBMが開発した新素材「LIMEX(ライメックス)」を採用しました。店舗では、2019年3月からLIMEX製のグランドメニューを使用しています。
石灰石を主原料とするLIMEXは、水や木材パルプをほぼ使用せず紙の代替や石油由来原料の使用量を抑えてプラスチックの代替となる特長により、高い環境性能を発揮します。また、日々多くのお客様が手に取られるメニューは、店内での耐久性が求められるアイテムですが、LIMEXは紙と比較して劣化に強く、導入後の店舗から、「手触り感が良い」「水に強く、汚れてもすぐに拭き取れる」といった良好な反応を得ています。
LIMEXのもう一つの優位性は、アップサイクルの実現です。アップサイクルとは、原料化によるリサイクルではなく、より価値を高めた再製品化を指します。LIMEXは、メニューなど印刷物をプラスチック成型品として再製品化し、サスティナブルな循環型モデルの構築に寄与します。吉野家でのアップサイクルはこれからになりますが、LIMEXのメリットを活かせるように研究を進めてまいります。
当社グループは、事業活動を通じて地球環境の保全と省資源に配慮し、循環型社会の構築に寄与することを先導すべく、株式会社三陽商会が展開するサステナブルファッションブランド「ECOALF(エコアルフ)」と連携し、「再利用広告」を展開しています。
「ECOALF」は、リサイクル素材や環境負荷の低い素材・副資材でつくられた衣服や雑貨を製造・販売するスペイン発のサステナブルファッションブランドで、今回は、広告を再利用して広告を作る(1)というサステナブルな観点での選択肢を提案いただきました。「資源を無駄にしない広告」というサステナブルなブランドコンセプトは、当社の考える「より良い地球環境に向けた価値共創」に非常に親和性が高いと判断し、今回の渋谷駅掲出広告デザインの協力に至りました(2)。
このたび、当社の試みに共感し、ポスターを提供してくれた各企業の皆様に感謝しております。昨今の地球温暖化などに代表される環境問題の意識が高まる中で、企業はよりサステナブルな観点での選択が迫られています。
一企業だけでなく共創によって、より大きな啓発や取り組みに変えられると考えます。ECOALFでは、ただ服を作るだけでなく、地球環境を保全するための取り組みを積極的に行っていきます。今後も一緒にACTIONを起こしてくださる皆様とともに行動することで、社会課題の解決の一助となれる機会を一緒につくりだしていければと思います。
株式会社三陽商会代表取締役社長中山雅之