未来に向けた活動
基本方針
当社グループは日本独自の飲食文化を発展・継承するサービスや長期的未来を見越した事業を展開しています。また、社会・市場環境の変化に対応し、ユーザビリティの向上とユーザーニーズを捉えながら業務の効率化を進めていくためにデジタル活用の推進にも努めています。吉野家においては、吉野家は新たな外食ニーズを捉えた新業態や店舗フォーマットの開発を推進しています。当社グループは、果敢なイノベーションによって変化を起こしながら、常に未来を描き続け、実現していきます。
活動事例
オペレーション負荷の軽減にもつながるクッキング&コンフォート店舗の展開
吉野家は2016年より、「作りたての商品を、快適な食事空間で楽しんでいただく」ことを軸としたサービススタイルを提供する「クッキング&コンフォート」スタイルの店舗を展開しています。「クッキング&コンフォート」型店舗は、はじめにレジで注文を伺い、会計を済ませた後、お客様がご自分で商品を受け取り、席まで運んでいただくスタイルです。お客様がゆっくり食事を楽しみ、くつろいで過ごせるように開放感のあるゆったりした客席としています。加えて、従来の店舗とレイアウトを変更することで従業員の動線や歩数の短縮を図りました。従業員の歩数が減ったことで、ひと手間を加えた外食ならではの商品の提供を行っています。
お客様・従業員双方にとってメリットが高いテイクアウト・デリバリー専門店の展開
吉野家は2022年より、テイクアウト需要に応え、テイクアウト・デリバリー専門店を展開しています。事前決済、注文で待ち時間を短縮する店内タブレットを配置しており、従業員は調理に集中できるため、迅速に出来立ての商品を提供することができます。客席が不要で出店費用が通常店舗の半分で済むため、新規出店の軸とし、未出店エリアへの出店による量的成長を目指します。
顧客ニーズの多様化に対応するための新業態開発
吉野家は2023年12月に、かるび丼・スンドゥブ専門店「かるびのとりこ」を埼玉県幸手市で営業を開始し、以降、店舗数を拡大させています。2024年12月には、東京都台東区にカレー専門店「もう~とりこ」、神奈川県横浜市にから揚げ専門店「でいから」を開業しました。新業態は吉野家で培った知見や独自の基盤を存分に活用して開発をしており、いずれも吉野家の食材を一部活用し、業態ごとに独自の調理技術を編み出しています。
人も地球もウェルネスになれる選択肢のひとつとしてオーストリッチを提案
株式会社SPEEDIAは、2017年から、未来を見据えて、オルタナティブミート(次世代の代替肉)の研究を進めるとともに、オーストリッチの研究を続けています。オーストリッチ研究においては、美容と健康の領域で新機能を発見し、人々の豊かな暮らしに貢献することがわかりました。研究はオイルやミートに留まらず、羽根や骨などオーストリッチのすべての資源を有効に活用するという観点で進めており、様々な研究者にも協力しています。現在、オーストリッチの飼育、研究、商品開発・販売はSPEEDIAが行っており、吉野家の一部店舗で「オーストリッチ丼」、吉野家公式通販ショップで「国産ダチョウ肉のロースト」、吉野家公式通販ショップなどでスキンケアブランドSPEEDIA全商品を展開しています。
町の飲食店の活性化を促進するサービス展開
株式会社シェアレストランは、2020年から、空きスペースを間貸したい人と間借りしたい人を結ぶマッチングする「シェアレストラン」を、2024年からお店を任せたい方とお店を引き継ぎたい方をつなぐ事業継承マッチングする「アトツギレストラン」のサービスを提供し、街の資産である飲食店さらには飲食業界の活性化を図っています。
人的資本強化へのデジタル活用
吉野家ホールディングス、吉野家、はなまるは、顔の画像で社員を個別認識するタレントマネジメントシステム「カオナビ」を2021年度より導入し、人材情報を一元管理しています。2022年度には、ウィズリンクとスターティングオーバーの社員データも追加し、対象を国内全社に拡げました。その機能は、人事業務の効率を高め、一貫した人材評価・育成を可能にし、社員の最適配置や抜擢などの戦略人事を支えます。当社グループでは、次期経営チームを発掘・育成するHR(ヒューマンリソース)会議においても「カオナビ」を活用し、職務等級・性別・年齢といった属性でソートした情報をもとに、候補人材のプールを形成しています。
スマートフォンアプリによるUX構築
お客様への提供価値にかかわるデジタル化は、成長戦略における最も重要な取り組みであり、ユーザーニーズの変化を捉えたスピーディーな対応が求められます。その一環として当社グループは、吉野家・はなまるのスマートフォンアプリによるUX(ユーザーエクスペリエンス)構築に注力し、店舗の利用促進につなげています。プリペイドカードをアプリに格納し、クーポンの発行やテイクアウトオーダーの利便性を提供するなど、デジタル化によってお客様の消費行動における選択肢を拡げるアプローチと位置付け、引き続き機能を拡充していく考えです。
アルバイト採用の効率化を実現する「オンライン面接」導入
従来のアルバイト採用の流れは、求人情報サイトを経由し本部に応募者の情報が伝わり、本部から各店舗へと渡って、店長が応募者にアポ取りを経て、店頭での面接を実施するというものです。その際一番の問題が、応募者との連絡・日程調整です。そもそも応募者が連絡をほしい時間帯と、店長が電話連絡できる時間帯が合わなかったり、ようやく連絡ができても面接の日程調整が難しかったりして、スムーズに面接まで進めないことが少なくありません。これは、円滑な店舗運営を妨げるだけでなく、会社全体にとっても大きな機会損失です。飲食業界全体を見ても、近年働き手が他の業界に流出しているとのデータがありますが、同様の事情が業界全体に存在するものと考えています。そこで、店長の代わりに面接官がオンラインによる面接を実施するシステムの開発・導入に着手しました。具体的には、求人情報サイトからの入口は同じですが、そこに応募専用URLを組み込み、LINEの友だち登録をしてもらうと即オンライン面接の希望日程などの入力画面へと移行できるシステムになっています。そこで入力された日程をもとにスケジュール調整を行い、面接官がオンライン面接を実施するという流れです。