地域社会への貢献

基本方針

企業にとって事業活動の地域的拡大は、果たすべき社会的責任の範囲拡大を伴うことが前提となります。当社グループは、国内のみならず魅力ある日本発の外食サービスを求める海外各地のニーズに応えながら、SDGsのテーマにも挙げられている世界的な経済格差や不平等、子どもの教育格差などの社会課題に対し、グローバルビジネスの担い手として解決に寄与し、持続可能な未来を次世代に受け継いでいきます。特に「地域社会との共生」「あらゆる人々に食の豊かさを」「共に創る新たな未来」を重点項目として推進していきます。

1 貧困をなくそう
2 飢餓をゼロに
4 質の高い教育をみんなに
8 働きがいも経済成長も
9 産業と技術革新の基盤をつくろう
10 人や国の不平等をなくそう
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任 つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
15 陸の豊かさも守ろう
17 パートナーシップで目標を達成しよう
リスク 機会
  • 地域での信認失墜によるブランド毀損、顧客離れ
  • グローバル展開の不調が招く成長停滞
  • 出店を通じて雇用を拡大し、地域経済を活性化
  • 高品質で安全な日本食に対する海外需要を獲得
  • 「食」を通じた教育や災害支援、非常食、ケア食の開発により地域密着企業に進化
主な指標 KPI
2030年度目標 2024年度 2023年度 2022年度
「店舗の地域貢献活動」の拡大(子ども食堂など食の提供) 全都道府県にネットワークを構築 32/47都道府県
(41,880食)
27/47都道府県
(48,812食)
23/47都道府県
(43,919食)

活動内容

地域社会との共生

地域産業の活性化と雇用創出

国内外で事業活動を行うことは雇用創出ひいては地域産業の活性化につながると考えています。

地域密着型の商品・店舗開発

  • はなまるは、香川県内の店舗限定で香川県のオリジナル小麦品種の「さぬきの夢」をブレンドしたうどんを提供しています。
  • 吉野家は、牛丼弁当の移動販売を行う「オレンジドリーム号」が“動く吉野家”として稼働しており、都心のオフィス街から店舗のないエリア、離島に出向いて営業を行っています。また、沖縄県の一部店舗では郷土料理である「タコライス」や「沖縄そば」を販売しています。
  • SPEEDIAは、茨城県のふるさと納税で茨城県石岡市の自社牧場で生産されたオーストリッチオイルを配合したスキンケア商品を販売しています。

災害への備え

非常用保存食「缶飯」
  • 吉野家は、「緊急時だからこそ、おいしくて栄養の高い食事をとっていただきたい」という想いの元、非常用保存食「缶飯」シリーズを開発しました。「缶飯」の他、常温保存タイプの「牛丼の具」や「牛カレー」「牛ハヤシ」も非常食として活用できます。
  • 吉野家は、全国の都道府県と順次「災害時における帰宅困難者支援に関する協定」の締結を進めています。協定を結んでいる一部の都道府県で店舗は「災害時帰宅支援ステーション」として登録しており、大規模災害発生時に帰宅困難者に対して、水道水・トイレなどを提供するようにしています。

地域社会の健康と安全性向上に貢献

心肺蘇生やAEDの操作方法レクチャーの様子
吉野家ホールディングスは、本社従業員およびグループ会社の全従業員を対象に、心肺停止または呼吸停止に対する一次救命処置講習会「命のバトンプロジェクト」を定期的に開催し、心肺蘇生やAEDの操作方法を学び、緊急対応力を強化することに努めています。

ボランティア特別有給休暇制度

吉野家ホールディングスでは、通常の有給休暇とは別に、ボランティア活動に参加する際に取得できる有給休暇を1日付与しています。休暇の対象となる活動は、児童福祉施設や高齢者施設・高齢者世帯への支援、被災地への支援、防災活動、障がい者向けイベントのサポート、地域のスポーツ大会の手伝いなどです。

職場体験の実施

  • ウィズリンクは、地域の学校からの依頼を受け、子どもたちの職場体験などを積極的に受け入れています。
  • 吉野家は、社員が家族(小学生以下限定)と店舗で一緒に働く職場体験を通じて、家族の仕事への理解や家族間コミュニケーションを促進するファミリーイベント「キッズキャスト」を定期的に開催しています。

ケアが必要な皆様に対して

2017年から、誰もが一生涯、食の楽しみを失うことがない社会の実現を目指して、咀嚼・嚥下機能が低下した方を対象とした「吉野家のやさしいごはん」をシリーズ展開しています。「やわらか牛丼の具」や「きざみ牛丼の具」をはじめとした商品を薬局やドラッグストアで商品を販売するほか、これまでに累計1万箇所以上の病院や施設が病院食や介護施設イベント時の食事として「吉野家のやさしいごはん」を採用しています。例えば、病院の最大手である日清医療食品株式会社を通じて病院施設で「吉野家のやさしいごはん」を提供した累計食数は280万食以上となっています。また、デイサービス施設などで開催する「吉野家のやさしいごはん」を取り入れた介護レクリエーション「吉野家牛丼レクリエーション」においては、商品を提供する他、法被を着た社員が店舗で用いるテイクアウト容器に盛り付けるなど美味しさ楽しさを増進するサポートを行っています。

日清医療食品株式会社を通じた病院施設での「吉野家のやさしいごはん」提供食数
2020年度 300,000食
2021年度 610,000食
2022年度 560,000食
2023年度 640,000食
2024年度 720,000食

あらゆる人々に食の豊かさを

要介護者や高齢者に対して

吉野家は、誰もが一生涯、食の楽しみを失うことがない社会の実現を目指して、咀嚼・嚥下機能が低下した方を対象とした「吉野家のやさしいごはん」シリーズを展開しています。これまでに全国累計1万以上の病院や施設が病院食や介護施設イベント時の食事に「吉野家のやさしいごはん」を採用しました。また、デイサービス施設などで開催する「吉野家のやさしいごはん」を取り入れた介護レクリエーション「吉野家牛丼レクリエーション」においては、商品を提供する他、法被を着た社員が店舗で用いるテイクアウト容器に盛り付けるなど美味しさ楽しさを増進するサポートを行なっています。

日常の買い物に不自由する人々に対して

スーパーマーケットの大型化・郊外出店に伴い、生活圏内の店舗が撤退し、日常の買い物に不自由する人々がシニア層を中心に増えています。買い物困難な地域を軽トラックで巡回する「移動スーパーとくし丸」では、吉野家の「やわらか牛丼の具」も販売しています。

子ども食堂への累計提供食数

子どもたちの欠食・孤食課題に対して
  • 2020年から開始した子ども食堂への支援は、徐々に取り組みを広げています。吉野家とはなまるは、年間を通じて栄養がある温かい食事を無償で提供しています。
吉野家
2020年度 約780食
2021年度 32,513食
2022年度 43,423食
2023年度 47,869食
2024年度 40,588食
はなまる
2021年度 474食
2022年度 496食
2023年度 943食
2024年度 1,292食

食体験の提供

  • ウィズリンクは母子生活支援施設や児童福祉施設、障がい者福祉施設に直営店舗の店長やスーパーバイザーが出張し、ばり嗎のラーメンを無償で提供する「出張ラーメン」を定期的に実施しています。
  • はなまるうどんは、従業員主導型の地域社会貢献活動に尽力し、地域が主催したうどん教室で子どもたちに実技指導を行うことがあります。

奨学金制度の運用

吉野家は、2017年から経済的理由により大学進学が困難な学生アルバイト従業員に対し、学資支援を行う奨学金制度を運用しています。本制度は、審査に合格した吉野家のアルバイト従業員(年間定員10人)を対象に入学金・授業料用途の奨学金を貸与するものです。大学卒業後に当社へ入社し、4年間勤務を継続した場合は、奨学金の返済を全額免除され、他社外食企業に入社した場合は半額を免除されます。経済的な問題を抱える若者を支援するとともに、外食産業の発展に寄与する人材を育成していきます。

共に創る新たな未来

産学連携

  • 2022年から、吉野家ホールディングスは、東北大学100%出資のコンサルティング 会社東北大学ナレッジキャスト株式会社、および東北大学と日立ハイテクによる脳科学カンパニー株式会社NeU(ニュー)と共同で、定期的に「朝食習慣に関する調査」を行っています。
  • 2023年から、吉野家ホールディングスは、太陽化学株式会社と京都府立医科大学と共に、京都府立医科大学へ産学連携共同研究講座「食と健康研究講座」を設置し、新規高機能牛丼の研究開発を行っています。
  • 2023年から、吉野家ホールディングスは、学校法人香川栄養学園女子栄養大学と産学連携包括協力協定を締結し、「健康な食事」という目標に向かって、健康・食・栄養の分野で産学連携を図っています。

自治体との連携

  • 2021年から、吉野家は大阪府泉大津市と防災啓発活動に関する連携協定を締結し、家庭における防災の備えに関心を持ってもらうための啓発イベントで「缶飯」を試食提供するなど、さまざまな協力を行っています。
  • 2022年から、はなまるは廃棄うどんを使ったバイオマス発電の実証実験を実施している高松市と協定を締結し、製造工程で出るうどんの端材を提供しています。
  • 2023年から、吉野家は一般社団法人栃木県歯科医師会と連携協定を締結し、栃木県の後期高齢者の健康増進を図るために、肉を食べてたんぱく質を摂取することで低栄養を防ぐことと、食事形態や食事内容に制限がある方でも家族をはじめ大切な人と同じ食事を摂れる食事環境作りを支援しています。

受賞歴

防災グッズ大賞

一般社団法人災害防止研究所が主催する「防災グッズ大賞」は、優れた品質の防災グッズを表彰し、防災グッズ(防疫、防犯を含む)を広く普及することを通じて、災害への備えの必要性、特に自助意識を啓発・普及することを目的としています。この「防災グッズ大賞」において、2023年は「缶飯牛丼6缶セット」が優秀賞に、2024年はローリングストックの観点からレトルト保存食全般(※)が大賞に選出されました。

レトルト保存食全般:常温保存タイプ牛丼の具、常温保存タイプ豚汁、常温保存タイプ牛カレー、常温保存タイプ牛ハヤシ、フリーズドライ牛すい、フリーズドライ豚汁、【介護用食品】レトルトやわらか牛丼の具、【介護用食品】レトルトきざみ牛丼の具、【介護用食品】レトルトやわらか親子丼