食の楽しさと健康・栄養

基本方針

経済格差の拡大を背景に、我が国では子どもの貧困率が高止まりを示し、栄養不足や孤食など食生活の悪化が進んでいます。健康で栄養価が高い豊かな食事は、当社グループが提供すべき最も重要な社会価値であり、それをすべての人々にお届けすることが日常食の担い手としての使命です。私たちは、原材料価格の高騰など「食」を取り巻く環境の厳しさを乗り越え、人々の健康を守る取り組みを継続していきます。

2 飢餓をゼロに
3 すべての人に健康と福祉を
8 働きがいも経済成長も
9 産業と技術革新の基盤をつくろう
10 人や国の不平等をなくそう
12 つくる責任つかう責任
17 パートナーシップで目標を達成しよう
リスク 機会
  • 気候変動や資源獲得競争による原材料価格の高騰
  • 感染症の拡大や高齢化に伴う消費行動の変化
  • 経済格差の拡大が招く外食利用者の減少
  • 子どもの貧困に対する社会的セーフティネットとして機能
  • 社会環境の変化に伴う健康需要の高まりに対応
  • 温かな日常食がもたらす生活の豊かさを提供

KPI

KPIの設定 2030年度目標 2023年度実績 2022年度実績
健康診断受診率 100% 91% 89%
KPIの設定 2030年度目標 2023年度実績 2022年度実績
トク牛サラシアプレミアム、ケア牛の年間販売数 10万食 7万食 8万食

トク牛サラシアプレミアムは国の審査を得て販売している特定保健用食品です。ケア牛は咀嚼・嚥下機能が低下した方向けの介護食品です。

活動事例

吉野家ホールディングス

  • 当社グループは、健康価値をお届けする体制を構築しています。商品開発部門が中心となって、お客様の健康ニーズを捉えたメニューや特定保健用食品、ケア食品の開発を進め、素材開発部ではその価値づくりに求められる食材・機能性素材の研究、健康増進への効果検証などエビデンスの担保を行っています。また、素材開発部では、SDGs観点での素材の有効活用なども進めています。
  • 素材開発部が行った吉野家の牛丼に関する栄養研究により、牛丼並盛は1日に必要なエネルギー源に対してたんぱく質・脂質・炭水化物の食事摂取基準の(※)4分の1~3分の1が摂取できることを明らかにしました。また、牛丼の具を3か月間食べ続けても健康診断項目に影響がなかったとの結果を得て、専門誌に投稿しています。
    (※)日本人の食事摂取基準2020年版、30-49歳男性活動度Ⅱの場合
  • 2013年より、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンター米井嘉一教授と共同で牛丼の栄養価値を研究し90日間連続摂取によっても健康診断結果に影響がないこと、朝食べると昼食後の血糖値の上昇が抑えられるセカンドミール効果があることが判明しました。この効果は肉に含まれるたんぱく質や脂質よるものと推察されています。
  • 2017年から、未来を見据えて、オルタナティブミート(次世代の代替肉)の研究を進めるとともに、オーストリッチの研究を続けています。オーストリッチ研究においては、美容と健康の領域で新機能を発見し、人々の豊かな暮らしに貢献することがわかりました。オーストリッチミートのモモ肉は、イミダゾールジペプチドを含む機能性表示食品として消費者庁に受理されております。研究はオイルやミートに留まらず、羽根や骨などオーストリッチのすべての資源を有効に活用するという観点で進めており、様々な研究者にも協力しています。現在、オーストリッチの飼育、研究、商品開発・販売は株式会社SPEEDIAが行っています。
  • 2022年から、東北大学100%出資のコンサルティング会社東北大学スマート・エイジング学際重点研究センター、および東北大学と日立ハイテクによる脳科学カンパニー株式会社NeU(ニュー)と共同で、「朝食習慣に関する調査」「米飯朝定食摂取による脳機能研究」を行っています。
  • 2023年から、吉野家ホールディングスは太陽化学株式会社と京都府立医科大学と共に、京都府立医科大学へ共同研究講座「食と健康研究講座」を設置し、牛丼の栄養価値を最大限に引き出すことを目的に、産学連携による研究開発を行っています。学会発表も行い、特許も出願中です。
  • 2023年から、吉野家ホールディングスは学校法人香川栄養学園女子栄養大学と産学連携包括協力協定を締結し、「健康な食事」という目標に向かって、健康・食・栄養の分野で産学連携を図っています。

吉野家

  • 2015年以降、安心健康で豊かな食事を提供することは、日常食の担い手である吉野家の重要な社会価値と考えており、吉野家は伝統の味を守りながら改良を加えて新たな商品を生み出し、「食生活の改善に役立つ牛丼」の商品開発・販売にも取り組み続けています。
  • 2017年から、誰もが一生涯、食の楽しみを失うことがない社会の実現を目指して、咀嚼・嚥下機能が低下した方を対象とした「吉野家のやさしいごはん」をシリーズ展開しています。「やわらか牛丼の具」や「きざみ牛丼の具」をはじめとした商品を薬局やドラッグストアで商品を販売するほか、これまでに累計1万箇所以上の病院や施設が病院食や介護施設イベント時の食事として「吉野家のやさしいごはん」を採用しています。例えば、病院の最大手である日清医療食品株式会社を通じて病院施設で「吉野家のやさしいごはん」を提供した累計食数は280万食以上となっています。デイサービス施設などで開催する「吉野家のやさしいごはん」を取り入れた介護レクリエーション「吉野家牛丼レクリエーション」においては、商品を提供する他、法被を着た社員が店舗で用いるテイクアウト容器に盛り付けるなど美味しさ楽しさを増進するサポートを行っています。

日清医療食品株式会社を通じた病院施設での「吉野家のやさしいごはん」提供食数

2020年度 300,000食
2021年度 610,000食
2022年度 560,000食
2023年度 640,000食
2024年度 720,000食
  • 2020年から、外食チェーンで初めて特定保健用食品の許可を獲得した冷凍牛丼の具「トク牛サラシアプレミアム」を販売しています。冷凍牛丼の具のたれにサラシアエキスのサラシノールを0.5mg配合し、食後、食事から摂取した糖の吸収を減らし、食後の血糖値上昇が緩やかとなる有効性、安全性が国によって認められています。
  • 2023年から、クッキング&コンフォートスタイルの店舗限定で美味しさと健康を兼ね備えた「牛丼ON野菜」を販売しています。一食で理想のタンパク質量と成人が1日に必要とする野菜量(350g)の4割超を摂ることができます。また、厚生労働省の「生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する食事の目安」等に基づき設定された基準を満たす必要があるスマートミール®認証を取得しています。
  • 2023年から、東京工場で工場専用のレタスの開発に努め、新品種による種苗登録と栽培条件の最適化に関する特許を取得しました。
  • 2023年から、東京工場で規格外となっていた玉ねぎ端材を乾燥処理し、食用パウダーとして利用するアップサイクルの取り組みを行っています。また、2024年2月以降は東京工場にASTRA FOOD PLAN株式会社が開発した過熱蒸煎機を導入し、瞬時に殺菌・乾燥・粉末化し、食材の風味と栄養価を残した食品素材原料として有効活用を行っています。外食企業のフードロス対策として高評価を得ています。

吉野家・はなまる

  • 2020年から開始した子ども食堂への支援は、徐々に取り組みを広げています。吉野家とはなまるは、年間を通じて栄養がある温かい食事を無償で提供しています。

子ども食堂への累計提供食数

吉野家

2020年度 約780食
2021年度 32,513食
2022年度 43,423食
2023年度 47,869食
2024年度 40,588食

はなまる

2021年度 474食
2022年度 496食
2023年度 943食
2024年度 1,292食

受賞歴

  • 2024年、株式会社吉野家が提供するスマートミール®認証取得商品「牛丼ON野菜」は、厚生労働省およびスポーツ庁が主催する「第13回健康寿命をのばそう!アワード」において生活習慣病予防分野 厚生労働省 健康・生活衛生局長 優良賞を受賞しました。
    プレスリリース
  • 2024年、株式会社吉野家が提供する「吉野家のやさしいごはん」シリーズを取り入れた介護レクリエーション「吉野家牛丼レクリエーション」は、第54回食品産業技術功労賞 マーケティング部門を受賞しました。
    プレスリリース
  • 2024年、東京工場で2022年以降、実施する 「食材加工時に廃棄される規格外の玉ねぎ端材のアップサイクル、ならびに持続可能なスキーム構築」に対して、環境省及び消費者庁が実施している「令和6年度食品ロス削減推進表彰」で「環境事務次官賞」を受賞しました。
    プレスリリース